クレジットカードが誕生したすぐの頃の物と比べると、近年発行されているクレジットカードのほぼ全てがICチップ付きの物となっています。
その点を突き詰めて調べることで、ICチップ付きのクレジットカードがなぜ登場し基本的な機能として今活用されているかが窺えます。
また、お買い物の際などにICチップ付きのクレジットカードを使う際に是非覚えておきたい注意点についても詳しくご紹介します。
これらを覚えておくことで、クレジットカードをより安全にかつようすることができるのです。
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目次
ICチップなしとICチップ付きのクレジットカードの違いとは?
古いタイプのクレジットカードをお持ちの方なら手元でご確認できると思われますが、現在発行されている最新型のクレジットカードにはICチップが搭載されていますが、古いタイプのクレジットカードにはこのICチップが搭載されていません。
ただ単にICチップがカード表面に搭載されているという見た目の違いだけでなく、実はカードの機能自体にも様々な違いがあるのです。
ICカードはカード自身が頭脳を持ち、ネットワーク社会の中で、安全に個の認証を可能とする有力なツールです。
具体的に、その違いとはどういった内容なのか?ここでは、まずその違いについて詳しく解説していきます。
磁気による読み取り不良への強度
古いタイプのクレジットカードの裏面を観てみると、カードの上部に黒い帯状のテープが左右横方向に設けられていることが見て取れます。
一方、最新型のクレジットカードには、この黒い帯状のテープが設けられた上で、カードの表部分には金色に輝くICチップが搭載されています。
実はこの違いがICチップ付きとなしのカードの最大の特徴となっています。
クレジットカードには、カード番号や有効期限など基本的な情報が全て内蔵されており、これらの情報はカードの読み取り機を通じて利用のたびに読み取られています。
この読み取りを行う働きを担っているのがカード裏面に設けられた黒い帯状のテープ部分で、このテープは磁気テープと呼ばれ特定の磁気を帯びているのが特徴。
カセットテープやビデオテープと同様に磁気を帯びたテープから個人情報をその都度読み取ることができるのですが、磁気テープは強い電波や電磁波に対して非常に弱いです。
最悪の場合、磁気テープの磁気が消えたり弱くなってしまい、カードの読み取り機にカードを挿入しても情報を読み取ることができないという脆弱性を抱えていました。
結果、磁気が弱まったカードは交換作業が必要となり、再発行に時間やコストが掛かることから、新たな対策として導入されたのがICチップなのです。
ICチップが磁気テープと比べ電波に対して非常に強く、たとえ強い電波や電磁波に晒されたとしてもICチップ自体は劣化しないため、その後も情報を読み取ることができます。
このことから、ICチップ付きのカードはICチップがないカードと比べ、読み取りに対して堅牢な強さを有している点が大きな違いとなっています。
最近活用されている最新型のクレジットカード読み取り機では、磁気テープからではなくこのICチップから情報を読み取る物がメジャーとなっており、今後はICチップ付きのカードが基本となる予定です。
セキュリティ強度
スキミングという言葉を耳にしたことがある方も多いと思われるほど、近年、クレジットカードを対象としたスキミングによる詐欺被害が全世界レベルで蔓延しています。
スキミングとは、クレジットカードの磁気テープ部分に記載されている個人情報を読み取った上でその情報を悪用する犯罪行為のことです。
磁気テープを採用しているほぼ全てのクレジットカードがスキミングによる被害に脆弱性を有しています。
スキミングは、カード読み取り機を通じた被害を始め、最近ではワイヤレスで磁気情報を読み取る最新型の機器も登場するなど、年々その手段も巧妙化しています。
一方、個人情報を全てICチップに記載している最新型のICチップ付きクレジットカードであれば、このスキミングという方法に対して絶大な強さを有しており、原則としてスキミング機器による情報の収集はほぼ不可能となっているほど。
このように、スキミングのようにクレジットカードの情報を盗み悪用する行為を初めとした様々な犯罪行為に対するセキュリティ強度の違いが、ICチップ付きカードとICチップなしカードの大きな違いとなっています。
ただ、ICチップ付きのカードであったとしても、裏面部分に黒い磁気テープが付与されているものについてはスキミングによる被害を受ける危険性があるので、この点にだけご注意を。
決済承認手段の違い
ICチップ付きのクレジットカードとICチップなしのクレジットカードを比べた上で意外な違いの1つとなっているのが、実際にカードを使って買い物などをした際に行われる決済承認手段の違いです。
カードを使ってお買い物をされた経験がある方なら一度は必ず経験しているのが、決済時に求められるサインの記入という手順。
店頭でカードを提示して支払いを行った際、レジから発行されたレシートの署名欄に自らのサインを記入したことはありませんか?
これが、いわゆる決済承認の手段であり、自筆でサインを記入することによって初めて、カードを使った決済を利用者が承認しているという証になります。
また、このサイン情報は直ちにオンラインでカード会社側にも送付されており、この自筆のサインがカード会社にあらかじめ保管されている所有者の筆跡と同様のものかどうか照合が併せて行われています。
一方、ICチップを搭載したクレジットカードでは、原則として自筆によるサインの記入は求められず、カード契約時に申告した4桁の暗証番号を専用の機械に投入して行う決算承認の手続きが採用されています。
これは、他人の読み取りに強さを持つICチップに暗証番号情報が記載されている故の特徴であり、情報の読み取りが容易な磁気テープを採用した旧型のカードでは暗証番号のみの決済承認はセキュリティの面で脆弱性と見なされるため、自筆のサインが欠かせません。
ICチップならではの情報読み取りに対する強さから、暗証番号だけで決算承認ができる点が高いセキュリティ性能を持つICチップ付きのクレジットカードならではの特徴であり、ICチップなしのカードとの違いの1つです。
ICチップ付のクレジットカードの注意点を解説
非常に優れたセキュリティ性をはじめとした様々な魅力や特徴を有するICチップ付きのクレジットカードですが、従来までのICチップなしのクレジットカードと比べると、いくつかの点で事前に注意しておきたい点や把握しておきたい点が存在しています。
では、優れたセキュリティ性を誇るICチップ付きのクレジットカードにはどのような注意点が存在するのでしょうか?
こちらについても、以下で詳しくチェックしていきましょう。
海外では使用できないケースあり
ICチップ付きのクレジットカードが普及した最大の原因は、スキミングを初めとしたクレジットカードの情報を盗み見た上で悪用する詐欺被害や犯罪行為が蔓延した為。
このことから、より堅牢なセキュリティ性能を持つ機能として、磁気テープに変わってICチップを搭載したクレジットカードが開発され、現在の普及にまで至っています。
ところが、このICチップ付きのクレジットカードですが、実は全世界的に観てみると、必ずしも全ての国や地域で普及しているというわけではないのです。
欧米を始め、現在では日本や中国などアジア地域でも広く活用されるようになったICチップ付きのカードですが、例えばアフリカや南米など特定のエリアの国では未だICチップ付きのカード自体が普及しておらず、旧式の磁気テープのみを採用したクレジットカードが活用されています。
ですから、こういったICチップ付きのクレジットカードが普及していない国に旅行や出張などで赴かれる方が現地でICチップ付きのカードを使おうとしても、店頭にあるカード読み取り機自体がこのカードに対応しておらず決済できないケースがあります。
ICチップ付きカードとしてのセキュリティ性を発揮出来ず自筆サインによる決済となり、スキミングなどの被害を被る恐れも十分に考えられます。
日頃から頻繁に海外旅行や出張に行かれるという方は、訪問する国で最新型のクレジットカードが使用可能かどうか、あらかじめカード会社のHPなどを通じて必ず情報収集しておきましょう。
情報を悪用する店舗で使った際のスキミング被害を想定した事前対策を強くオススメしておきます。
自筆サインではICチップの堅牢性が発揮されない
最新のセキュリティ技術が導入されたICチップという機構を採用したクレジットカードは、そのセキュリティ性能の高さが最大の魅力といっても良いツール。
一方、ICチップ付きのカードだからといって必ずしも安心というわけではありません。
実は、ICチップ付きのクレジットカードに搭載されたICチップの堅牢性を活用した決済を行うためには、ICチップに対応した最新型の決済機器の導入が店舗側に求められています。
ところが、このICチップに対応した決済機器は依然として導入までに高額なコストが掛かる事から、主に中小や個人商店の多くでは未だ導入さえされておらず、旧型の磁気テープを読み取るタイプの決済機器が使用されているほど。
このため、せっかくICチップ付きのクレジットカードを使用しているのにもかかわらず暗証番号による承認ではなく自筆サインによる承認を求める店舗も多く、これではせっかくのICチップ付きのセキュリティ性を活用することさえできません。
また情報を悪用する店舗でカードを使った場合、決済時のサインを含めた情報が悪用される恐れも。
ICチップ付きだからといって決して安心はせず、自筆サインを求められるような店舗で使う際には細心の注意を払っておく必要があります。
暗証番号の漏洩には補償がない場合あり
クレジットカードには、不正利用に対する所有者への補償制度が導入されており、万が一不正利用され不当な請求が行われた場合でも、申告することで被害の弁済を受けることができます。
ところが,クレジットカードでもうけられている補償制度はどんな被害にも100%対応してくれるというわけではなく、例えばカード裏面の署名部分に署名を記載していないカードが不正利用された場合やカード契約時に申告した暗証番号が所有者の過失によって漏洩し悪用され不正利用されたケースでは補償を受けることができません。
ICチップに暗証番号を初めとした情報が封入されたICチップ付きクレジットカードでは、原則としてICチップから情報が漏洩するリスクが一切ありません。
このため、ICチップ付きクレジットカードでありながら正規の暗証番号を使って決済承認が得られた不正利用に対しては、カードの補償制度を使った補償を受けることができないのです。
ICチップ付きだからといって完全に安全というわけではないという点に留意した上で、くれぐれも暗証番号を他人に教えたりカード盤面に記したり、或いは誕生日など推測しやすい番号にしないよう注意してください。
万が一、所有者の過失によって暗証番号が漏洩され悪用されてしまった場合のリスクは計り知れません。